JoJoの奇妙な冒険 宇宙世紀編

 ホワイトベース所属のパイロット、ジョブ・ジョンは焦っていた。
 ジオン宇宙要塞「ア・バオ・ア・クー」攻略戦。
 自艦のホワイトベースを出撃したのが18:00、最初の敵と交戦に入ったのが18:03。
 それから何度かの戦闘をくぐり向けた彼であったが、ここへきて重大な局面に挿しかかった。
 自分の艦を見失ったのである。俗に言う「ロスト」である。
「何故なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 誰も居ないコクピットで一人叫ぶジョブ・・・・・・
 
 ホワイトベースのクルーたちからは「ジョジョ」という愛称で呼ばれて、ことあるごとに自分を頼ってきてくれた仲間たち。時にはリュウさんの代わりにガンタンクに乗りアムロに殴られ、時にはガンペリーでミサイル誤射でブライトに修正され、時にはエンジンの調子が悪いと徹夜で修理に借り出され、またあるときはセイラさんのシャワーを間違えて覗いてしまいビンタをくらったのも、全ては仲間が自分を信頼してくれる証と思い今日まで戦ってきた。


 そう言えばリュウさんが亡くなる前に僕に言ったことがある。
「ジョジョ、このホワイトベースで正規のパイロット候補生は俺とおまえだけだ。俺にもしものことがあったときはアムロ達の面倒を見てやってくれ。頼んだぞジョジョ・・・」
 あのリュウさんの言葉を胸に秘め、今日まで仲間達を影から支えてきた。そう、薄すぎて誰も気がつかないくらいひっそりと・・・・・。
 アムロがガンダムから下ろされると聞いたときは、ついに自分の時代が着たと喜び。シャアのライバルは自分だと思ったときもあったが、気がついてみればアムロはガンダム持ちだして脱走してしまう始末。その後ガンダムが戻ってきてもガンダムには乗れずにガンタンクの下半身役か、対空砲にまわされる始末。
 ブライトもジャブローにたどり着くまでのコシカケ艦長だと思っていたら、大尉に昇進して相変わらず艦長やってたし、自分が乗るはずだった新型のMSジムはジオンの工作員に破壊されそうになり、その後勝手に乗りこんだパイロットはシャアのズゴックに一撃でやられてしまった。せっかく自分にも本来のパイロットらしい活躍ができると思い、喜んだ矢先であった。


 その後ガンタンクは一人乗り用に改修され「ハヤト専用」になり、ジャブローで搬入されたGアーマーはスレッガーさんというエースパイロットが乗ることになるし・・・・。そのスレッガーさんも一週間ぐらい前にソロモンで死んじゃった。
 そして、最終戦となるア・バオ・ア・クー戦。
 ようやくブライトも自分の実力を認めたらしく、MSのパイロットとして登録してくれた。GMだけど・・・・。
 このジョジョ様が乗るMSとしてはガンダム辺りが妥当なのだが、ひよっ子パイロットのアムロにはガンダムぐらいじゃないとすぐやられてしまうから、GMで納得した。


そして、ダサイGMをエースパイロットの自分仕様にするために、日夜練りつづけた構想を試した。
まず、GMだとビームライフルを持てないためにビームライフルを持てるようにガンタンクからコアファイターをこっそり取り外して取り付け、ガンダムの予備のビームライフルもこっそりと持たせた。それだけでは武装面に心もとないので、バズーカも後ろに取り付けられるようにした。そうして、ジョジョ・カスタムが誕生した。

 しかし、意気揚揚と出撃してみると、ジオン軍はここぞとばかりに激しい抵抗を見せていた。
 ジョジョもザク3機とドム1機を撃墜した。そして、気がついてみるとGMのレーダーからホワイトベースが消えていた。

 自分を頼ってくれた、自分が居ないと何も出来ない仲間たちを探すために、ジョジョはア・バオ・ア・クーに近づいた。運良く敵のMSと遭遇することも無く敵要塞に近づきつつあった。しかし、さすがのジオンも無傷で近づいてくる敵影を見逃すはずも無かった。

 突然コクピット内に警告アラームが鳴り響く。
 敵機接近を知らせるものだ。レーダーをチェックすると、ザクらしき反応がひとつ。
 素早く機体を反転させ、迎撃体勢をとる。
 敵の発砲・・・・GMのシールドをかすめる。
「やるじゃないか」
 心の中でそう呟くと、同時に反撃する。
 見事にザクをしとめる。
 コクピット内の警告アラームが消える。

 並みのパイロットだけど相手が悪かったな・・・・ジョジョは誰に言うでもなく一人つぶやくと再びレーダーで索敵をはじめた。どうやら近くの空域で見方が苦戦しているようだ。レーダーには敵のマーカーと味方のマーカーの点が点滅している。それぞれの点がひとつ消えるたびに、撃墜されているということなのだ。
 と、急激に味方のマーカーが消え始めた。
 どうやら一機の敵MSが先行して味方を攻撃しているらしい。
「これは・・・・・エースだな」
 ひとり呟くとジョジョ・カスタムはその空域目指して移動を開始した。


18:10 ジオン軍宇宙戦艦ドロワ

「ビレスィ伍長、お前の機体では戦闘は無理だ。後退して修理を受けろ」
青いゲルググのパイロット「アナベル・ガトー」は僚機のザクに向かって告げた。
「いえ大尉、大丈夫です。いけます。」
ビレスィと呼ばれた兵士はガトーの乗るゲルググに接触回線で答える。
兵士と呼ぶにはまだ幼さが残るビレスィだが、人員確保のために学徒動員で召集された兵士だったのである。
ここにきてジオンは民間人も登用しなければいけないほど人手に困っていたのだ。
「無理だ。外から見るとよくわかる。一度後退しろ。命令だ。」
「了解しました。ご武運を大尉。」
「いわれるまでも無い。連邦のザコどもにはア・バオ・ア・クーは落とせんよ。」
そういうとガトーはビレスィを後にして一人敵陣に向かった。

ジョブ・ジョンは目的の空域に差し掛かっていた。
途中、ジオンの戦闘機ガトルに出くわしたが、バルカン砲でなんなく退けることができた。

目的の空域に到達すると、一機の青いゲルググが味方の砲撃を集中的に受けていた。
受けていたが、どれも命中してはいない。
「さすがだ、俺にはあれぐらいがふさわしい。もっとも、このニュータイプ、ジョジョの敵ではないがな。」
一人不気味な笑みを浮かべると、ジョジョ・カスタムはゲルググに向かっていた。


「あー、ありゃどこの馬鹿だ?たった一機で勝てるわけ無いだろ」
ゲルググに攻撃を仕掛けているGMのパイロットが味方に向かって話す。
「でも、少し俺たちと違うぞ。どこの部隊だ?」
「ありゃ、13独立部隊だよ」
「ああ、あの囮部隊ね」
「そうそう」
「任務に忠実だねぇ」
「っていうより、馬鹿だな」

「おい、そこのGM。俺たちの部隊は一度後退して補給を受けなければならん。」
「それまでの間、あのゲルググの相手を頼めるか?」
味方からの通信がジョジョの機体に届く。
「そりゃかまわないが、戻ってきたときには終わってるかもしれないぜ」
ジョジョは味方に言い返す。
(終わっているって、お前のことじゃねぇか?)
パイロットは心の中で思ったが・・・
「そりぁ、ありがたい。」
GMのパイロットはそういうと、後退していった。

 ガトーは目の前の敵が後退して行くように見えたが、一機だけ自分の前に立ちはだかるようなGMが目に入った。
普通の者とはちがう妙な気迫を感じたが、次の瞬間には行動に出ていた。
 軽くバーニアを吹かして敵の背後に回り込もうとしながら
「たった一機で私に挑むとは見上げた心意気だ」
 そういうと、ジョジョの側面からビームライフルを斉射した。

「なに!」
 ジョジョは敵のスピードに驚きながら、紙一重でかわした。
「あれがシャアなのか?」
 噂とは違う機体のカラーリングに戸惑いながらも、反撃に転じていた。
 機体の回避行動と同時にAMBAC運動で、ビームライフルを撃つ。

「やるではないか。しかし、その程度で私は止められん。」
 ガトーはGMのビームライフルを旋回運動だけでかわして、敵の背後に詰め寄る。
「私は儀によって戦っている!」
 そういうと同時にGMに蹴りを浴びせる。

「そうかい!」
 わずかながら敵の罵声が聞こえたが、同時に激しい衝撃が機体を襲った。
 何とか機体を立て直し、弾切れになったライフルを捨てて腰からバズーカを取り出す。
 そして、シャアのゲルググに向けてバズーカを構える。
「!」
 ジョジョは凍りついた。
 バズーカを構えたその先には、既にライフルを構えるシャアの姿があった。

「その程度ではビレスィにすら敵わんぞ!」
 言うと同時にトリガーを引く。
 
 ジョジョも同時にバスーかを撃った。
 ゲルググのビームがバズーカの弾を貫通し、GMの右腕を吹き飛ばした。
 GMは爆発の勢いでア・バオ・ア・クー方面に流れていった。

「せめてもの情けだ。戦闘力のみ奪わせてもらう。」
 ガトーは続けざまにビームライフルを斉射した。
 最初は頭部、次に脚部、そしてバックパックを破壊した。
「もう、どうすることも出来まい。」


 ピーピー・・・・
 ヘッドホンから通信が入る。
「大尉、デラーズ閣下のグワジンにお戻りください。」
「カリウスか。どうした。」
「戦局が変化したようです。一度お戻りください。ここからでは補給するにしてもドロワは遠すぎます。」
「わかった。いくぞ、カリウス。」
「はっ」
ガトーはカリウスのドムと一緒にグワジンへ向かった。
(無事でいろよビレスィ・・・・・)
心の中で、そう叫んだ。


「うっ・・・・・。」
 ようやく意識を取り戻したジョジョは目の前に広がる警告アラームの山に気がついた。
 どうやら左腕以外は破壊されてしまったらしい。
 ガンダムさえあれば・・・・
 そうも思ったが、コクピットに広がる警告ランプを一通り見渡すと
「もし、アムロだったらガンダムでもシャアには勝てないな・・・」
 とんでもない勘違いをしていることに、まったく気がついていないジョジョだったが、仲間の無事を確認するためにホワイトベースを探すことにした。
 シートの下にある強制分離レバーを思いっきり引く。
 GMの上半身と下半身がそれぞれ分離し、コアファイターのみとなる。
 コアファイターは無事であったため、ホワイトベースを探すことは出来た。

 途中でコアファイターはザクのマシンガン攻撃を受けて大破してしまったものの、無事にホワイトベースのクルーたちと合流することが出来た。ホワイトベースもア・バオ・ア・クーに取り付いていたため、見つけることが出来た。


 その後、艦隊直獲の任務を放棄して、独断行動したジョジョはブライトに死ぬほど殴られました。

ジョジョの奇妙な冒険
 宇宙世紀編 完

 

inserted by FC2 system